Agatha Christie - The ABC Murders: 探偵物ゲームの解とは

 こちらもHamble Bundleに含まれていたので、ちょっと前にプレイしたゲーム"Agatha Christie - The ABC Murders"のレビューです。ゲーム自体は、認識はしていたけど、購入までは至っていなかったものです。というのも、"探偵物ゲーム"というのが、どうもどれもイマイチなので。

 アガサクリスティは大好きな小説家の一人で、もちろんABC殺人事件も読んでいます。このため、事件の大筋は覚えているため、少し事件に対する興味が少し薄くなってしまっているかなとも思います。

 ゲームを開始して印象的なのはいわゆるセルシェーディングを用いたアニメ調とも言えるグラフィックスです。それは、舞台である1900年代前半のイギリスという感じ、きれい好きとして知られる探偵ポアロとも合っており、綺麗です。

 ゲームの進め方は、アドベンチャーゲームの基本であるポイント&クリックによる証拠集めと、関係者への質問が基本になります。そして、それらで集めた情報より、ゲーム側で用意した質問に関連する情報を選択する謎解き(例えば、「事件1と事件2を関連性を示す証拠は?」という問いに、関連する証拠を選択する)と、事件で起きた事柄を時系列に並べる再現が主軸となります。

 ここまでは、問題ないのですが、もう一つ、"パズル"という要素があります。これは登場人物が重要な情報を二重底になっている箱などに隠しているので、あちこちのスイッチを動かし見つけます。最初の二つぐらいまでは、それほど複雑ではないので気にならなかったのですが、後に行くほど、このパズルがおそろしく複雑になり、さらに、普通の一般人がなぜか恐ろしいほど複雑な仕掛けの中に情報を隠しているので、なんでこんなことをしなければいけないのかという思いでいっぱいになります。

 このゲームにはヒントボタンがあり、一定の時間が経てば、ボタンを押すことで進めることができます。このため、完全に進めなくなるということはないのですが、一方で、パズルの途中で使ってしまうと、どうやって解いたのか説明されないので、自分では解けない状態になります。そうなると、パズルの最後を解くまでヒントに頼るしかなくて、一定時間待ってヒントボタンを押すというのを繰り返すという、退屈な作業をしなければならなくなります。

 そもそも、自分できちんとパズルを解けばよいのですが、このゲームにはインターフェイスに不具合があります。具体的には、パズルで動かせる箇所で、マウスカーソルが手のアイコンに変わるのですが、その判定に不具合があるようです。例として、隠し扉のある棚を調べているとして、その足の部分が仕掛けになっています。当然、下から見ている場合は、足の上へマウスを動かせばアイコンが変わるべきですが、なぜか、横から見ている場合にもアイコンが変わり、しかも足の仕掛けを動作させることができてしまいます。(仕掛けがプレーヤーの視点から見えているのかという判定を正しくおこなっていないと推測されます)

 インターフェイスに関する不具合としては、ポイント&クリックの部分にもあります。明らかにクリックできそうな物が置かれているので、それをひたすらクリックするのですが反応がなく、行き詰ったのでヒントボタンを押すと、その何も反応のなかった箇所へ探偵が歩いていき、証拠を見つけてしまいます。ヒントボタンにより行き詰ることがないといっても、ちょっとひどいかなと思います。

 最後に、ストーリーですが、当然ながら原作が名作なので問題はないのですが、推理小説をゲームにしようとすると、ストーリーアドベンチャーゲームとなってしまい、探偵ゲームならないという問題が発生してしまいます。つまり、小説のストーリーから大きくはずれたことはできないので、それに沿った流れ以外は選択できません。でも、プレーヤーが望んでいる探偵物は、実際に自分で推理し事件を解決したいと思っているわけで、そこからは大きくかけ離れています。

 特にABC殺人事件は、最後に、大きなどんでん返しが待っているのに、このゲームは純粋なアドベンチャーゲームでもないので、それを驚きがあるように表現できていないし、といって、プレーヤーがそのどんでん返しを自分で推理できるようにもなっていないという問題を持っています。

 総評としては5/10といったところでしょうか。

 でも、探偵物ゲームで、本当にプレーヤーが推理をするゲームってあるのだろうか。あるのならばプレイしてみたい。

 

長所:

  • きれいないグラフィックス

短所: