Darksiders: ちょっと盛り込みすぎた

 今までは、一通り終えたゲームだけをレビューしていましたが、「ゲームの研究」という意味では、途中でやめてしまったゲームも取り上げた方がよいかなと思い、今回はDarksidersです。

 といっても、とんでもなくひどいゲームというわけではなく、ちょっとした点で楽しめないので、やめてしまったというゲームです。

ストーリー

 天使と悪魔の中立が破られ、それを維持していた四騎士の一人がその謎を解くというのがおおまかなストーリーです。コミックも付属していたりするので、ちょっと子供っぽい感じがあります。登場するキャラクターもコミックらしい感じです。きちんとしたストーリーはありますが、ゾクゾクするような内容かというわけではありません。(ただ、最後までプレイしたわけではないので、結末はもしかしたら驚くことが起こるのかもしれませんが)

パズル

 良かった点として、ほどよい感じに作り込まれているパズル要素があります。プレイヤーは、ダンジョン内を探索しますが、パズルがある場所だと、ウォッチャーという主人公のお目付役が出てきて「ここがあやしそう」と説明してくれたり、カットシーンになり、いかにも何かありそうなオブジェクトにズームインしたりと、ヒントをくれます。でも、すべてを教えてくれるわけではなく、次のパズルでは、今までの解き方に少し変化を加えることで、解けるようになっています。

 このバランスがとてもすばらしく、ゲームに言われるがままにパズルを解いているわけでもなく、といって、なにも手がかりがなく、同じ場所を何度もうろうろして途方に暮れるということもなく、よいテンポで解けるようになっています。

ゲームシステム

 未だに完全に理解できたのかわからないというくらいややこしいのが、このゲームのゲームシステムです。まず、基本的には最近のゲームではほとんどが採用しているアクション系のゲームに少しRPG要素を加えたシステムを採用しています。といっても、Borderlands 2のようにレベルアップという要素はなく、Bioshock 1/2に近い感じで、スキルやアイテムを購入できます。ただ種類は非常に多く、武器の購入、武器のアップグレード、スキルの購入、攻撃コンボの追加、消費アイテムの購入、非消費アイテムの購入ができるようになっています。

 当然、購入するためには通貨が必要ですが、それは敵を倒すともらえるソウルが通貨になっています。ただ、この通貨は、そんなにはたまらないようになっており、雑魚の敵だと1ソウルしかくれず、でも購入するアイテムは2000や5000ソウルが必要だったりします。ボスや宝箱はもっとくれますが、これらはリスポーンしないので、限界があります。このアイテムの価値と、もらえる通貨のバランスの悪さが、ゲームを窮屈なものにしてしまっています。

 通貨以外にも、敵を倒すと、ライフ回復とラス回復をくれます。ライフ回復は、その通り、プレイヤーのライフを回復します。そして、ラスという耳慣れない要素ですが、ようはマナ(Bioshock 1/2でのEVE、Bioshock InfiniteならSALT)です。ただ、ライフ/ラス回復をくれるのは、ボスのみで、雑魚はくれません。あとは、宝箱に入っていることがあるくらいです。じゃあ、どうやって回復するのかですが、一番手っ取り早い方法が、死んでしまうことです。そう、死ねば、チェックポイントでリスポーンして、これらが回復します。

 これって、戦闘系のゲームでは、絶対に採用すべきでない方式だと思います。プレーヤーはどれだけ敵に倒されずに、うまくプレイするかをチャレンジしているわけで、この思いを根本的に壊してしまっています。

戦闘

 非常に大雑把な戦闘形式です。主人公は、1アタックで、大ぶりな連続攻撃をしかけます。雑魚相手であれば、ほぼ一方的に複数の敵を相手にできるので、非常に便利なのですが、ボス相手だといまいちです。困るのが、敵も大ぶりな攻撃をすることです。普通の移動で、敵の攻撃を避けるのはほぼ不可能で、ダッシュで圏外まで回避する必要があります。でも、ダッシュ中は無敵というわけでななく(ドッジでなはい)、さらに、ちょっと距離が短いこともあり、回避に失敗することもあります。

 敵は、雑魚、小/中/大ボスぐらいに分かれます。雑魚は、一方的に攻撃できるので簡単に倒せますが、もらえるソウルも非常に少なく、正直なところ邪魔なだけです。小/中ボスは、それなりのソウルをくれるのですが、一部のボスは結構やっかいで、死ぬまではいかないにも結構ライフを減らすことになります。すでに触れたようにライフの回復は(死ぬ以外は)簡単ではないので、小/中ボスですら、相手によっては戦うかどうかを迷うことがあります。

 あと、小/中ボス戦では、アリーナのような閉じた空間で、複数のボスとの戦いになるシーンがあります。この形式が自分は嫌いで、せめてもう少し広くするか、障害物を置いてくれればよいのですが、これでは工夫のしようはなく、ダッシュ-攻撃のパターンをひたすら繰り返すしか方法がありません。

 最後に、大ボスですが、なぜか急に、ある攻撃方式だけでしか倒せないパズルのようなものになります。例えば、最初のボスは、敵が投げる車を投げ返すという方法以外では攻撃できません。当然ながら、購入したスキルや武器も無意味になるので、どうしてこのような方式にしたのか不思議でたまりません。

総評

 ゲームデザインの難しさを感じたゲームです。パズルはよい感じのバランスに仕上がっているのに、ゲームシステムと戦闘はほんの少しだが盛り込みすぎてしまい、その結果、面白くないものに仕上がっているという印象です。もうちょっと、シンプルにすれば、よいバランスになったと思います。

 特に大ボス戦をこんな方式にしたのは致命的な気がします。アクション系ゲームとして、いろいろなコンボなどをうまく決めてプレイしてきた人にとっては、急に、それらのコンボは大ボスには無意味だからと言われるようなものだし、同様に、RPG要素を主体にプレイしてきた人には、いろいろと購入した装備やスキルが無駄だからと言われるようなもの。プレイヤーは、今までプレイして鍛えた腕や、コツコツと育てたヒーローの能力を試す重要な場所なのに、それを無意味にしてしまっています。

 ただ、ゲーム全体としてはそんなおかしなゲームではないので、スコアとしては6/10でしょうか。Darksiders 2とのセットのセールで購入したので、今度は2を試してみたいと思います。